トウチュウカソウとは?エビデンスをもとに効果や副作用を解説

Written by alloeh編集部

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化学的根拠に基づいたトウチュウカソウ属の6つのメリット

トウチュウカソウ属は、虫の幼虫に寄生する寄生菌類の一種です。
この菌が宿主を攻撃すると、組織が入れ替わって、細長い幹を萌出し、これが宿主の外で成長します。

虫の死骸と菌は、手作業で採集され、乾燥させてから、漢方薬として主に疲労回復や肝疾患の改善、性欲減退の回復のため、何世紀にもわたって使用されてきました。
トウチュウカソウエキスを含むサプリメントなどの製品は、身体に良いとされ人気が高まっています。

現在見つかっている400種類以上のトウチュウカソウ属のうち、特に研究の対象となっているのは、冬虫夏草とサナギタケの2種類です。
しかし、多くの研究が動物実験などの研究レベルであり、専門家もヒトに対する効果を保障しているわけではありません。
ですが、その効果は十分に期待できます。

この記事では、化学的根拠に基づいたトウチュウカソウ属に期待できる6つのメリットを紹介します。

1. 運動能力の向上

トウチュウカソウ属は、筋肉にエネルギーを送るために欠かせないアデノシン三リン酸 (ATP)の生成を促進すると言われています。
これによって、特に運動中に酸素を体内でより効率的に使えるようになるのです。

健康な高齢者30名にサイクリングマシン使用時に、トウチュウカソウ属が彼らの運動能力にどれほど影響するかを試した研究があります。
被験者は、CS-4という人工のトウチュウカソウ属の菌株を毎日3グラム、または偽薬を6週間摂取しました。

CS-4を摂取した被験者においては、最大酸素摂取量が7%増加しましたが、偽薬を摂取した被験者には変化が見られませんでした。

同様の実験で、健康な高齢者20名がCS-4を毎日1グラム、もしくは偽薬を12週間摂取しました。

どちらを摂取した被験者においても最大酸素摂取量に変化はありませんでしたが、CS-4を摂取した被験者においては、最大酸素摂取量以外の運動能力の向上が見られました。


Point: トウチュウカソウ属は、年齢にかかわらず成人の運動能力を向上させますが、トレーニングを積んだアスリートにはその効果は見られませんでした。


2. アンチエイジング効果

トウチュウカソウ属は疲労回復や体力向上、性欲減退を改善するとして、高齢者が摂取してきました。
研究者は、トウチュウカソウ属の抗酸化成分がアンチエイジング効果をもたらしていると考えています。

老化したネズミを用いた研究では、トウチュウカソウ属の摂取によって抗酸化成分が増え、記憶力がよくなり、性機能の向上が確認されました。

抗酸化物質は、病気や老化の原因となるフリーラジカルを中和することによって細胞へのダメージを防ぐ分子です。
トウチュウカソウ属を与えたネズミは、与えなかったネズミみよりも数ヶ月長生きしたとい研究結果も報告されています。

また、トウチュウカソウ属によってショウジョウバエの寿命が延びたという研究報告もあり、そのアンチエイジング効果を更に裏付ける結果となっています。

しかし、同様のアンチエイジング効果がヒトにもあらわれるかどうかは、まだ解明されていません。


Point:ネズミを用いた実験では、トウチュウカソウ属はアンチエイジング効果があるいう結果が出ています。 期待できる結果ではありますが、人体に同様の効果があるかどうかはまだ解明されていません。


3. 抗腫瘍効果

トウチュウカソウ属は、腫瘍の拡大を鈍化させる可能性があるとされ、最近大きな注目を集めています。
研究者は、トウチュウカソウ属が複数の方法で 抗腫瘍効果を発揮すると考えています。

トウチュウカソウ属が肺がん、大腸がん、皮膚がん、肝臓がんといった様々な癌細胞の拡大を阻止するという結果が複数示されています。
ネズミを用いた実験では、リンパ腫、黒色腫、肺がんに対して、抗腫瘍効果が見られました。

また、トウチュウカソウ属は、がん治療による様々な副作用を抑える効果も期待されています。がん治療の副作用の一つとして、白血球の減少があります。

白血球の減少は、白血病とは異なり、白血球の数が減少、身体を守る能力が低下し、感染症に対するリスクが増える症状を指します。

白血球が減少したネズミに、癌の化学療法によく用いられる放射線治療やタクソール治療を施し、その後にネズミに対してトウチュウカソウ属の効果をみる実験が行われました。

その結果、トウチュウカソウ属は、白血球の減少をくい止めることが判明しました。つまり、トウチュウカソウ属は、がん治療による合併症の発症を防ぐことができるということです。

しかし、この結果はあくまでも動物実験などの研究レベルのもので、ヒトに対する実験結果ではありません。

したがって、トウチュウカソウ属による白血球減少や腫瘍の拡大抑制といった効果がヒトにもあてはまるかどうかは解明されておらず、専門家もまだ断言はできないのが現状です。


要点 動物実験などの研究レベルでは、トウチュウカソウ属は、がん治療やがん治療による副作用を抑制するのに効果的という結果が示されました。しかし、これは人体への効果を保障するものではなく、今後さらに研究が必要です。


4. 二型糖尿病に対する効果

トウチュウカソウ属は、糖尿病を治療するための特種な糖を含んでいます。

糖尿病は、身体のエネルギー源となるグルコースを細胞に運ぶ役割をするインシュリンを体内で生成できない、もしくは身体がインシュリンに反応しない病気です。

身体が十分にインシュリンを生成できなかったり、インシュリンにうまく反応できないと、グルコースが細胞にいかず、血中に残ってしまいます。グルコースが血中にたくさん有り過ぎると、健康に重篤な問題を引き起こします。

ですから、糖尿病患者は血糖値をうまくコントロールすることがとても重要なのです。

トウチュウカソウ属は、インシュリンに似た働きをするため、血糖値を正常な範囲に保つことができる可能性があります。

糖尿病のネズミを使った実験では、トウチュウカソウ属によって血糖値が下がったという結果が示されました。

また、トウチュウカソウ属は、糖尿病の合併症としてよく発生する肝疾患に対しても抑制効果があるというエビデンスもあります。

22の研究にわたる、1,746名の慢性肝臓病患者が、トウチュウカソウのサプリメントを摂取した結果、肝機能が改善したという結果が得られました。

しかし、この結果は決定的なものではありません。研究結果のレビュワーは、これらの実験は質が悪いとしています。従って、慢性肝疾患の患者に対する、トウチュウカソウ属の肝機能改善効果は、決定的とはいえません。


Point:コントロール不良の糖尿病患者は常に血糖値が高いため、健康に深刻な影響があります。 動物実験では、トウチュウカソウ属は、糖尿病の治療に効果があるかもしれないという結果が報告されています。


5. 心臓を健康に保つ効果

トウチュウカソウ属が心臓を健康に保つのに有効かを調べる研究がなされ、そのメリットがますます注目されるようになりました。

実際、トウチュウカソウ属は中国で不整脈(心拍が早すぎたり遅すぎたり、一定でない病気)の治療薬として認められています。

慢性肝疾患のネズミにトウチュウカソウ属を与えた結果、心臓の損傷が劇的に軽減したという研究結果もあります。慢性肝疾患が原因で心臓が損傷した場合、心不全のリスクが高まるため、この損傷を少なくすることでそのリスクを防ぐことができるのです。

研究者は、トウチュウカソウ属に含まれるアデノシンによってこの効果がもたらされるとしています。アデノシンは、心臓を守る効果がある天然成分です。

トウチュウカソウ属は、コレステロール値を安定させるのに良いと言われています。
動物実験では、悪玉コレステロール(LDL)値を下げる効果があるという結果が得られました。
LDLは、動脈にコレステロールを堆積するため、心臓病のリスクを高めます。

また、ネズミを使った実験で、トウチュウカソウ属はトリグリセリド値を減少させるという結果がえられました。

トリグリセリドは、血中に見られる脂肪の一種です。トリグリセリド値が高くなると心臓病のリスクが高まります。
しかし、トウチュウカソウ属がヒトの心臓の健全化に役立つかどうかはまだ十分に実証されていません。


Point:トウチュウカソウ属は、不整脈を防ぎ、トリグリセリド値を下げ、悪玉コレステロールを減少させることで、心臓の健康に役立つ可能性があります。


6. 抗炎症作用

トウチュウカソウ属は、抗炎症作用があると言われています。
ある程度の炎症は無視できますが、ひどい炎症は、心臓病や癌につながる可能性があります。

ヒトの細胞がトウチュウカソウにさらされると、体内の炎症を高める特別なたんぱく質の働きが抑制られるという結果も報告されています。
研究者は、こういった効果によって、トウチュウカソウ属が抗炎症サプリメントや治療薬として役立つと考えているのです。

実際、トウチュウカソウ属によってネズミの気道の炎症が軽減したため、喘息の治療に使用出来る可能性もあります。しかし、トウチュウカソウ属は、一般に抗炎症剤として用いられている薬ほどの効果は期待できないようです。

また、局所的な使用に向いているようです。 あるネズミの研究では、トウチュウカソウ属によって局所的に肌の炎症がおさまったという結果が出ており、抗炎症剤としての効果を示しています。

しかし、トウチュウカソウ属のヒトに対する抗炎症作用は未だ確認されていません。


Point:動物実験では、トウチュウカソウ属の抗炎症作用が確認されています。 しかし、ヒトに対して抗炎症作用を発揮するかどうかは不明です。


トウチュウカソウをサプリメントとして摂取するには

冬虫夏草は栽培が難しいことから、1ポンド9,000米ドル以上もの価格がついています。
そのため、トウチュウカソウサプリのほとんどが、人工で合成されたトウチュウカソウCS-4と呼ばれるものを使用しています。

質の良いトウチュウカソウサプリを購入するには、米国薬局方(USP)かNSFインターナショナルのシールが貼ってあるブランドを購入してください。

サプリメントに不純物が混じっておらず、ラベル通りの材料が使用されているということを保障する第三者機関があります。

摂取量

トウチュウカソウ属の人体実験はまだ限られているため、摂取量に関して一致した意見はありません。

人体実験で通常使用される摂取量は、一日1,000mg~3,000 mg です。この範囲で使用すると副作用も認められず、身体に良いということが分かっています。

副作用と安全性

トウチュウカソウ属の人体に対する安全性はまだ確認されていません。
しかし、漢方薬としてこれまで長期間使用されてきたことを考えると、毒にはならないでしょう。
事実、中国政府は、トウチュウカソウCS-4を病院で使用する事を認めており、それを安全な天然薬として扱っています。


Point:天然の冬虫夏草は高額なため、トウチュウカソウサプリは、人工的に作られています。 適切な摂取量は 1,000 mg~3000 mgです。 人体への安全を保障する研究はいまのところなされていません。


まとめ

トウチュウカソウ属は、漢方薬として広く知られており、様々な疾患の治療に用いられてきました。

多くの分野で期待できる結果を示しているものの、ヒトに対する効果に関しては、ほとんど研究がなされていません。
ですから、専門家が勧めるにいたるまで、さらなる研究が必要となります。

動物実験などの研究レベルでは、トウチュウカソウ属は心臓の健康に役立ち、抗炎症作用、さらには癌や糖尿病治療に効果を発揮し、アンチエイジング効果も確認されています。
しかし、こういった実験の質は低く、結果がヒトにあてはまるというわけではありません。

また、運動能力を向上させるという研究結果もあります。運動時にエネルギーを向上させ、酸素の使用を促進します。
今のところ、健康促進のために摂取すべき量は決められておりませんし、その安全性も確認されていません。

トウチュウカソウサプリを摂取する際は、純度が高く質の良いものを入手するため、第三者機関で試験が行われた製品を購入してください。

動物実験で確認されているトウチュウカソウ属のメリットがヒトにも確認できるのも時間の問題でしょう。

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